株式会社リコーご登壇 SHLタレントマネジメントウェビナー「DXを推進するデジタル人材戦略」開催報告
株式会社リコーご登壇
SHLタレントマネジメントウェビナー
「DXを推進するデジタル人材戦略」開催報告
Zoomビデオウェビナー
2022年9月29日(木)14:00-16:30
2022年9月29日、弊社主催のタレントマネジメントウェビナー「DXを推進するデジタル人材戦略」(Zoomビデオウェビナー)が開催され、当日参加・アーカイブ視聴含め、約160名の人事ご担当者にご参加いただきました。当日は、株式会社リコーの田中様と木原様にご登壇いただき、デジタル戦略とデジタル人材戦略、アセスメントを活用したデジタル人材のタレントマネジメントの取り組みをご共有いただきました。※ 社名・部署名・役職等はシンポジウム開催当時のものです。
開催レポート
まず基調講演として田中様にデジタル人材戦略の組織内の位置づけや在り方についてご講演いただき、続いて木原様にデジタル人材育成の具体的な取り組みについてご紹介いただきました。その後Q&Aシステムを使って視聴者の皆様から寄せられたご質問にご回答いただきました。以下、お二人のご講演の内容の趣旨を簡単にご紹介します。
田中 豊人 氏
(株式会社リコー コーポレート上席執行役員 CDIO)
今回は、デジタル人材の育成に関わるリコーの活動についてお話しします。まず私から、会社が目指す方向や、人や組織風土をどう位置づけているかという全体像をお話しします。
私はコニカミノルタ、米国のGE、中国のアリババを経て、リコーに2020年4月に入社しました。今はDXによる社内の生産性向上・高度化、およびお客様の課題解決における新しい価値の創造を推進する立場にあります。
リコーは創業者市村清の三愛の精神「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」を中心に据えて事業活動をしています。国を愛すとは今自分たちが存在している、この社会を愛すということ。これが事業活動の目的をSDGsや社会貢献とすることに繋がっています。そしてもう1つリコーが大事にするのは、「”はたらく”に歓びを」。リコーはこれまでOAによる職場効率化を提唱してきましたが、今後はハードだけではなくデジタルサービスでお客様に貢献する会社を目指す。つまり、SDGsや社会課題の解決に貢献し、そして“はたらく人”に歓びを実感していただくために、現在人材育成や、組織風土の改革をしているのが背景です。
私が統括するデジタル戦略部というDX推進組織は、500人ほどおります。その中でデジタル人材の育成強化、デザイン思考の普及等も人事担当者と密接に連携を取り進めています。デジタル戦略部はグループ本部側にありつつ、全社のデジタル戦略会議を回しています。全社の社長、それぞれのビジネスユニット長、機能長が全員出席する経営会議に準ずる会議体を持っています。
我々のデジタル人材育成・強化は2層構造です。特定のスキルを使って顧客価値創造に貢献する人材を強化するデジタル人材強化活動と、リコーにおける最低限のマインドセットやリテラシーを身に着ける全社員向けの活動です。
私からは全社員向けの活動についてご説明をします。昨年からまずは間接部門(人事、経理、SCM等)を含むプロフェッショナルサービス部に、プロセスDXの教育を受けてもらい、理解度や活用度、成果に応じた資格認定制度を作りました。こうした教育をトップダウンで行うだけでなく、各部門のデジタルやデータを使った事例を共有したり、オープンカレッジで学び合い、会社が表彰するといったボトムアップの取り組みも、従来から行われています。
そして、特定の人材を育成するだけでなく、それぞれが個性を発揮できる組織作りを会社全体で行うため、「imagine.change.活動」というものを行っています。たとえば、カスタマーセントリックやイノベーションなどの「リコーウェイ」を実践するための活動などがあります。基本的なことですが、デジタルサービスの会社としてあるべき行動のdoと don’tをイラストにして目につくようなところに掲示したり、「私のimagine.change.宣言」といって、一人が1つの価値観を選び、行動計画を表明する機会を設けています。
もう1つ、「リコーを芯からアジャイルにするタスクフォース」という新組織を創設しました。社内でデザイン思考とアジャイルを同時に普及し実践する動きをしています。変化に対応できる組織、前例にとらわれない行動を、それぞれの個人、組織が実際にできているかを確認する活動を始めています。これはアカデミックな外部の方々にも協力いただいています。このように、人材育成だけでなく組織風土も、全て一体で改革するための様々な活動を始めています。
こうした活動を評価いただいたのか、今年DX銘柄2022に選出されました。私が言うまでもなく、企業価値の源泉は人。これらの活動は、当然人事の諸制度ともかかわり、ジョブ型人事の採用、D&I(ダイバーシティインクルージョン)の活動、ワークライフバランスにも取り組んでいます。
最後になりますが、リコーの三愛の精神、最初に人を愛するとあります。これまでも人を愛してきましたが、これからはより自律的に各社員が個性を生かし、スキルを身に着け、結果的にそれが社会課題の解決や、「”はたらく”に歓びを」につながる。そんな世界を目指しながら活動を続けていきます。
木原 民 氏
(株式会社リコー デジタル戦略部デジタル人材戦略センター所長)
私はデジタル人材戦略センターの所長、リコーデジタルアカデミーの学長を務めています。またリコーITソリューションズの理事でもあり、それが我々の施策にもつながっています。
私はリコーに長く勤続し、最初は研究開発、途中で産婦人科向けマルチメディアCDROMを提供する社内ベンチャーや商品企画などを経由して、数年前リコーITソリューションズに出向しました。そこで他のITベンダーに学び、技術人材育成の仕組みを立ち上げてきました。
2020年に田中、またCHROの瀬戸が入社し、現在変革が進んでいる真っ最中です。私がリコーITソリューションズで構築した技術人材の可視化および人材開発戦略を田中に共有したところ、グループ全体へ展開することになり、まずは現状の戦力の可視化から始まりました。
当社のデジタル人材強化は2層構造です。
私はデジタルエキスパートのスキル可視化、デジタルビジネスを引っ張るようなビジネスインテグレーターの育成を担当しました。最初に行ったのが、スキルの可視化と、SHLの協力によるDX資質適性調査です。
まずデジタルエキスパートのスキル可視化については、ITSS(ITスキル標準)をベースに行いました。その結果をもとに、デジタルエキスパートのスキルレベルの底上げをすべく、特定レベルに到達する人数(割合)の目標を立て、全社で推進しました。この目標はリコーの中のESG目標にもなっています。
次に、DX資質適性調査についてです。今後デジタルサービスの会社として変革するために、各人が自分の能力やキャリアプランを考えて学ぶ、自律的な学びをコンセプトに掲げました。自分にどのような資質があるかを理解してもらうために、日本エス・エイチ・エルのOPQ(万華鏡30)でアセスメントを行いました。一人一人にレポートを返却し、結果の解釈の動画を全社員へ配信したりしました。
リコーデジタルアカデミーは、専門的能力強化研修と呼ばれる各社各部門から推薦された人向けの研修と、デジタルナレッジ研修という全社員を対象としたものがあります。デジタルナレッジ研修は、誰でも自律的に手を挙げれば受けられる研修です。
具体的な研修内容はアジャイルに日々変化していますが、プロセスDXのメニューも含めカテゴリーを増やしています。デジタルナレッジ研修は、e-learningであるユーデミービジネスを活用して推進しています。
さらに、デジタルアカデミーの周知のために、定期的なイベントや、卒業生向けに現場で実践するための支援を行っています。特に、アジャイルの専門家やリーンスタートアップの活動をされている専門家をDXE(DXエキスパート)として外部から招聘しており、活動に関わっていただいています。
去年から、アジャイルとデザイン思考をデジタルサービスカンパニーに必須のマインドセットと位置づけて「リコーアジャイル」と呼び、ビジネスも組織運営そのものも探索と適応を繰り返していくマインドセットと方法論の浸透活動を行っています。デジタルビジネスに関わる方は必ず知っておくべき基礎研修として作り込んだ専門能力強化研修である「デジタルビジネスファンデーション」のトップにも、リコーアジャイル研修を取り入れています。この研修では、その後にデザイン思考とアジャイルのワークショップでマインドセットを学び、さらにEラーニングでリーンスタートアップやカスタマーサクセスを学ぶというセットで、現場に好評を受けています。
またデジタルアカデミーでは、「研修のための研修」で終わらないよう、現場での実践をトラッキングすることにこだわっています。デジタルビジネスファンデーションでは、受講後のアンケートから始まり、現場で実践できているかどうかを本人と上司に確認し、実践において課題にぶつかった際に支援する仕組みとして、コミュニティやDXEとの相談会等を開催しています。卒業生が気軽に実戦での問題点を解決できる仕組みを作りながら、現場で生かすための施策を進めています。
プログラム
14: 00
開会
14: 05
基調講演「持続可能な社会づくりに責任を果たす」―リコーのデジタル戦略とデジタル人材戦略―
田中 豊人 氏(株式会社リコー コーポレート上席執行役員 CDIO)
14: 30
SHL講演 「デジタル人材に求められる要件」
清田 茂(日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員)
15: 00
休憩
15: 10
ゲスト講演 「デジタル人材を育てる~リコーデジタルアカデミー」
木原 民 氏(株式会社リコー デジタル戦略部デジタル人材戦略センター所長)
15: 40
質疑応答
16: 30
閉会