2022年採用シンポジウム
「新卒採用 各社の事例」開催報告
Zoomビデオウェビナー
2022年7月7日(木)13:30-16:30
2022年7月7日、弊社主催の採用シンポジウム「新卒採用 各社の事例」(Zoomビデオウェビナー)が開催され、当日参加・アーカイブ視聴含め、1,000名以上の人事ご担当者にご参加いただきました。当日は、株式会社大塚商会、サントリーホールディングス株式会社、トヨタ自動車株式会社、丸紅株式会社の4社の人事ご担当者にご登壇いただき、自社の新卒採用の取り組みをご共有いただきました。※ 社名・部署名・役職等はシンポジウム開催当時のものです。
開催レポート
4名のパネリストの皆様には、まずそれぞれの採用活動のお取り組みについてご講演いただき、その後Q&Aシステムを使って視聴者の皆様から寄せられたご質問にご回答いただきました。その後休憩をはさみ、視聴者から4社全体に寄せられたご質問をもとにパネルディスカッションを行いました。以下、各パネリストのご講演の内容の趣旨を簡単にご紹介します。
鈴木 雅美 氏
(株式会社大塚商会 人材開発部人事採用課 係長)
当社からは主に面接官分析についてお伝えします。当社は職種別採用で、コロナ以降自己PR動画とオンライン面接を実施していますが、そこでZENKIGEN社の「harutaka」というシステムを使用しています。このシステムによって面接の情報(音声、表情、時間等)を記録し、あらゆる面接の分析に活用できるようになりました。
まず、面接官ごと、部門ごとの傾向として、どのような人材を好むのか、またそれが全社的に採用したい人材像から大きく外れていないかを、日本エス・エイチ・エルの適性検査の結果を使って分析しました。
また、面接録画から抽出したデータと選考データ(面接官自身の合格率、次選考の参加率及び合格率、学生の発話率、笑顔度等の客観データ)を各面接官へフィードバックしています。
年初に実施した面接官講習では、役員を含む全面接官が参加し、当社の面接の傾向や頻出ワード等の共有をしました。また、「質問の深堀りが上手い」「面接官の印象が良い」実際のモデル面接を視聴し、具体的な言動を実際に見ることで「良い面接」のイメージの共有に繋がり、面接官から好評でした。
本施策に対して、面接官からは好意的な声が多かったです。面接官は他に本業を抱えながら面接を行っていますが、面接も「評価されるべき仕事」であることが明確になったのではないかと思います。また、面接のスキルが可視化されたことにより、スキルを上げたいという声も上がりました。
今後は、面接官のスキルアップに加え、エントリー動画のAI判定、面接動画を基にした求める人材像の明確化など、動画を活用して採用全体の改善を行っていきたいです。
菅原 久里子 氏
(サントリーホールディングス株式会社 ピープル&カルチャー本部 課長)
当社は新卒の選考機会の拡充として、ビジネス部門(営業、マーケティング、スタッフ職等)の入り口を2つに分けました。2020年から学業・部活動・留学等に専念したい方向けの短期集中型のA日程と、通常のB日程の2つの選考日程を設けました。
また、世の中や会社の状況が大きく変化する中で、改めて新卒で求める人材を議論し、既存施策の見直しと新規の探索を行っております。既存施策の見直しについては、ありたい姿を踏まえた広報活動の見直しと、選考プロセス、特に見極めの難しい初期選考にフォーカスして見直しました。広報活動においては、学生が欲しい情報を気軽に取得できるように、最初のきっかけとなることが多いサントリーのHPに興味を持ってもらう工夫を盛り込みました。また、就活系YouTuberとのコラボを行うなど、異なる接点を持つようにしました。さらに、DX人材の強化に向けて、まだサントリーとDXが紐づかない方も多い段階からのスタートですので、現場の皆さんとプロジェクトを組み体制を整え、DX専用のHP作成、広く周知したり、海外大生やスカウトを利用する等、幅広い人材にアプローチしました。
選考プロセスでは、見極めが最も難しい書類選考について、日本エス・エイチ・エルの適性検査データを活用し、変革視点をもつ起業家に多いパーソナリティモデル(当社ではイノベーションビットと呼んでいます)を援用して初期スクリーニングの参考にしました。このタイプの方は、当社母集団の中では希少でしたが、そのような人材を積極的に選考に呼ぶようにし、良好な感触を得ています。また人の見方という点においても、これまでの適性検査のデータをもとに、ややバイアスがかかっているであろうポイントについて面接官との目線のすり合わせも始め、徐々に改善を始めています。
山口 勇気 氏
(トヨタ自動車株式会社 人事部人材育成室 採用グループ長)
現在、自動車を取り巻く技術環境が大きく変化しており、当社も自動車会社から、モビリティを通じて価値を提供するモビリティカンパニーへと変革しようとしています。そこで、まずは求める人材像から見直しました。従来のビジネスだけではなく新領域にビジネスが広がり、他社との協業も増えているためこの人と一緒に働きたいと思ってもらえ、かつ謙虚に学び続けられる「人間力」、また社会課題に取り組み続ける「情熱」を重視することとしました。また新しい専門性を外部から取り入れるとともに、社内の風土を改革する目的で、キャリア採用も拡大しました。
応募者とのマッチングを高める観点から上記の変革を外部に発信するため、広報も見直しました。トヨタイムズといったトップからの発信だけでなく、従業員一人ひとりの働き方を知ってもらうためtalentbookやTECH PLAYでも発信を行い、HPのリニューアルも行いました。また従来のトヨタでは活躍するイメージが持ちにくい情報系人材に向けた露出も多く行っています。
採用活動の見直しとしては、学校・学歴に関係なく多様な人材を採用するため、学校推薦を廃止しました。先輩の紹介がないと応募できないと思われる、もしくは学校推薦があるから応募するといったような、学校推薦による弊害が生じていたためです。その他、高専生の採用強化、高校生の総合職採用の復活、初期配属コース別採用も行いました。
選考上の見直しは、SONARというATSを導入し、面接の可視化を行いました。その結果、面接官ごとの評価の甘辛、評価根拠・入力文字数のばらつき等の課題が浮上したため、面接における標準作業を明確化し、日本エス・エイチ・エルの協力のもと面接官訓練を実施しました。
最後に、多様な人材の定着・活躍のため、職場主体のオンボーディングを人事として後押ししました。配属後も内定者の情報提供や、見学会や懇親会、サーベイの実施などを行っています。今後は、タイムリーな要員計画と採用のリードタイムの短縮、さらなるマッチングの強化、多様な人材に訴えかけるための各種取り組みの強化を考えています。
許斐 理恵 氏
(丸紅株式会社 人事部 採用・人財開発課 課長)
当社は今春から新しい中期経営戦略「GC2024」をスタート、前中期経営戦略の変革の3年間を経て、「戦略実践の3年間」と位置付けています。人財戦略として、マーケットバリューの高い多様な人財が、活き、繋がり、価値を生み出す「丸紅人財エコシステム」の進化を掲げ、人事制度についても大胆な変革を実行しています。
新卒採用においても、当社独自の採用手法にチャレンジしており、3つの入り口を設けています。
まず従来から行っている新卒オープン採用は、商社のビジネスに関心のある人財を幅広く募集しています。海外で働きたい人や変革に取り組みたい人など、様々な志望動機をもった人財が集まってきます。
次に、導入4年目となる「ナンバー1採用」は、何かの第一人者、ナンバー1といえる人財を募集しています。ナンバー1に至るまでのプロセスを、当社のビジネスの現場でも再現してほしいと期待しています。動画でナンバー1をPRして頂きますが、どれも大変興味深いです。
最後に「キャリアビジョン採用」は、最初の配属部署を明示する、いわゆるジョブ型の採用であり、当社に入って明確にやりたいことがある人が、部署を選んで応募できる仕組みです。特定のビジネス分野や商材、職能に対する高い専門性や関心を持つ人財を求める部署が参加しています。キャリアビジョン採用では、PRから選考の企画まですべて各部署が行い、人事部やHRBPがそれをサポートします。各部署での人財要件の検討や選考等のプロセスを通じ、現場での採用や人財育成への関心が高まるといった副次的な効果も出ています。
また当社では、女性総合職の採用を強化しており、新卒総合職採用における女性比率を24年度入社までに40~50%にすることを数値目標として掲げています。世界中の多様な課題を解決することが商社のミッションであり、将来にわたりその期待に応えていくためには、まだまだ男性が多い同質性の高い組織からの脱却は急務だと考えています。
プログラム
13: 30
開会
13 : 35
ゲスト講演「新卒採用の取り組み」
鈴木 雅美 氏(株式会社大塚商会)
菅原 久里子 氏(サントリーホールディングス株式会社)
山口 勇気 氏(トヨタ自動車株式会社)
許斐 理恵 氏(丸紅株式会社)
15: 15
休憩
15: 25
パネルディスカッション 「新卒採用の取り組み」
【モデレータ】
杉浦 征瑛(日本エス・エイチ・エル株式会社 名古屋HRコンサルティンググループ)
16:30
閉会