人事担当に聞く!タレントマネジメントの実際
様々な人事課題に対して、なぜ、なにを、どのように行ったのか、
人事担当者にお話しを伺いました。
積水ハウスの次世代リーダーを育成するタレントパイプライン構築。
経営戦略を実現するための新たな人事組織を立ち上げた積水ハウス。
次世代を担うビジネスリーダーを計画的・戦略的に育成するタレントパイプライン構築の取り組みをご紹介します。※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
安信 秀昭 様
人事部 人材開発室 室長(写真右)
増田 貴久 様
人事部 人材開発室 課長(写真左)
様
積水ハウス株式会社
積水ハウス株式会社
事業内容 | : | 戸建住宅事業、賃貸住宅事業、建築・土木事業、リフォーム事業、不動産フィー事業、分譲住宅事業、マンション事業、都市再開発事業、国際事業 |
業種 | : | 建設業 |
従業員数 | : | 16,616名(2020年4月1日現在) |
インタビューの要約
経営戦略を実行するために計画的なビジネスリーダーを育成するという課題があった。
次世代リーダー発掘プログラム「SHINE! Challenge Program」を創設し、タレントパイプラインの構築に着手した。日本エス・エイチ・エルのアセスメントを用いて、高業績かつ光る人材を効率的に選抜できた。
経営戦略の実現のため、人事制度の変革にも取り組みたい。
今後は採用や育成含めて、様々な場面で日本エス・エイチ・エルのアセスメントを活用していきたい。
このインタビューのテーマ
人事戦略を実行するため、タレントパイプライン構築と人事制度変革に着手。
これまでオペレーショナルな業務が中心であった人事部を、10年後、20年後を見据えて経営戦略に沿った人事戦略を担う専門組織にすべく、人材開発室という新たな組織が作られました。様々な人事課題を検討する中で、まずは①タレントパイプラインの構築と②職能資格を中心とした年功序列的な人事制度の変革を、大きな柱として取り組むことになりました。日本エス・エイチ・エルに相談したのは、このタレントパイプラインです。
社長をはじめ、取締役・執行役員、そして一番のキーポジションである支店長のサクセッションプランニングが課題です。私たちは、中堅・若手クラスの中から将来のビジネスリーダーになれるような人を早期に発掘して計画的に育成する、人材プールの作成を経営層に提案しました。
この課題の背景には、過去の反省がありました。営業中心の会社ですから、これまで支店長になる人はどちらかというと業績重視でした。そこで、マネジメント能力や人格など、より多角的に評価を行い、計画的に人材を育成し、登用する必要があると考えました。
次世代リーダー発掘プログラム「SHINE! Challenge Program」
私たちの組織が発足する少し前に、支店長養成研修「経営塾」がスタートしました。支店長や部長になる登竜門のようなもので、受講生の選抜方法は上長推薦です。1年間でリベラルアーツや行動経済学、DX、イノベーションなどを大学教授、外部有識者から学びます。幅広く勉強してもらい、その成果を支店経営に活かしてもらうことがねらいです。
続いて、35歳以下の選抜研修を新たにスタートさせました。「Sekisui House Innovators and Entrepreneurs」の頭文字をとって、「SHINE! Challenge Program」と名付けました。15名限定で約1年間、多くの外部講師や社内の最先端にいる人からインプットを得ます。普段実務に専念している人たちに、視野を広げ、視座を高めてもらい、将来の積水ハウスの価値創造を考える機会を提供しています。全体を通して外部コーディネータに伴走してもらいながら、得た知識をどう活かすかアクション・ラーニングを行います。最終的には、研修を通じて得た経営課題からビジネスプランを作成し、経営陣の前で発表します。参加者からは、日常とは異なる視座で会社を考える機会が得られた、他の参加者からよい刺激が得られたとの声が寄せられました。
アセスメントで光る人材をどう見つけるか。
「SHINE! Challenge Program」は名前の通り、イノベーターやアントレプレナーの素養がある人を探して輝かせることを目的としています。そのイノベーター、アントレプレナーをどのように見つけるのかについて、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントに相談して、選抜方法を決めました。
基本的に人材開発室がプログラム参加者の15人を選んでいます。候補者は30歳前後から35歳ぐらいまでの社員約1,100名です。選抜基準は2つ。一つは人事考課などの実績、もう一つはポテンシャルです。日本エス・エイチ・エルのタレントアセスメント(知的能力検査、パーソナリティ検査OPQ、モチベーション検査MQ)を使ってポテンシャルを評価しています。特にOPQから算出されるマネジメント能力やアントレプレナーのポテンシャルに注目しています。
選抜基準の2つの評価を縦軸と横軸にとり(実績を縦軸、ポテンシャルを横軸)、各軸を3つのレベルに分けることで、9つの区分(9ボックス)を作り、右上の区分に入る人から15人を選んでいます。
今後は日本エス・エイチ・エルのアセスメントをより一層活用したい。
日本エス・エイチ・エルには採用のアセスメントを長年提供してもらっており、何度も尺度や基準の見直しの相談をして、真摯に協力してもらいました。「SHINE!Challenge Program」の軸を作りたいとなったときに、他のアセスメントも検討しましたが、長年のデータ分析と活用の実績でわかったアセスメントツールの信頼性と妥当性の高さ、カスタマイズの柔軟性から日本エス・エイチ・エルのアセスメントを使うことに決めました。その後、担当コンサルタントと時間をかけて打ち合わせをしながら、選抜手法や評価軸の構造などを決めていきました。
採用でも引き続きご協力いただき、さらに進んだ人材データ分析を行いたいと思っています。また、育成の面では、現場からアセスメント結果をうまく使いたいという声もあがっています。職場風土を変革するために、上下関係や社員同士のコミュニケーションを改善したり、ダイバーシティを推進するため、アンコンシャスバイアスに気付かせたり、といった取り組みを進めています。その中でOPQ、MQを自己理解や他者理解の促進に使いたいと考えています。読みやすく、あつかいやすいレポートやユーザーインターフェイスでアセスメント結果を本人やマネジャーにフィードバックできるとありがたいですね。
担当コンサルタントから
岡松太郎
日本エス・エイチ・エル株式会社 大阪オフィス 部長
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