人事担当に聞く!タレントマネジメントの実際
様々な人事課題に対して、なぜ、なにを、どのように行ったのか、
人事担当者にお話しを伺いました。
管理職候補者への動機づけとマネジメント教育を担う、
大塚商会のリーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」。
マネジャーの育成と動機づけのために、3階層からなるリーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。
大塚商会のタレントマネジメントをご紹介します。※本取材は2021年12月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
閤師 敏晃 様
株式会社大塚商会
人材開発部 部長
株式会社大塚商会
事業内容 | : | システムインテグレーション事業/コンピューター、複合機、通信機器、ソフトウェアの販売および受託ソフトの開発など。サービス&サポート事業/サプライ供給、保守、教育支援など。 |
業種 | : | 情報・通信業 |
従業員数 | : | 7,429名(連結子会社を含めた従業員数9,119名)※2020年末日現在 |
インタビューの要約
「名プレーヤーは名監督にあらず」。管理職候補者に対する体系だったマネジメント教育と動機づけの必要性を実感し、リーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。
リーダーカレッジは3層構造。エントリーレベルである「次世代リーダーカレッジ」では、アセスメント(パーソナリティ検査OPQ)の結果をフィードバック。目指す姿とのギャップや能力開発課題を特定。
候補者のコンピテンシーやスキル、知識レベルなどはプログラム中に適宜評価。情報をデータベース化し、タレントマネジメントに活用する。
今後の課題は、候補者に対する評価をより構造化し、安定的に継続可能な仕組みを構築すること。
このインタビューのテーマ
名プレーヤーは名監督にあらず。管理職候補者に対する
リーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。
当社は2011年から、「リーダーカレッジ」というリーダーシッププログラムを運営しています。この背景には、「優秀なプレーヤーがそのまま優秀な管理職となるとは限らない」という大前提があります。たとえば、かつては売り上げの多い営業社員がそのまま管理職として登用される事例も多くありましたが、当然ながらセールスの能力とマネジメントの能力は別物です。この齟齬は、上司・部下間の関係性の悪化や、退職の増加など、目に見える形で表れていました。「部下は背中を見て育つ」という時代ではなくなりましたし、マネジメントやコーチングは管理職が仕事として行うべきものです。そこで、リーダー育成のためのプログラムを発足し、候補者を集めてリーダーシップについて学ぶ仕組みを構築したのです。
またリーダーカレッジは、管理職候補者に対する動機づけの役割も担っています。当社ではマネジャーにならずに専門職として活躍するキャリアを選ぶこともできますが、「マネジメントの面白さ・醍醐味」も積極的に伝えていきたいと思っています。リーダーカレッジをきっかけにして、管理職に興味を持ってくれる社員が増えたらありがたいと思っています。
リーダーカレッジのエントリーレベル「次世代リーダーカレッジ」では、
アセスメントのフィードバックを実施し、個々人の能力開発課題を明確化。
リーダーカレッジは3階層に分かれており、それぞれの層で志のある候補者に対し、数年間のプログラムでリーダーシップを育成していきます。アカウンティング、ファイナンス、経営戦略など、経営に必要な知識の習得もここで行います。課長になると、一番下の層である「次世代リーダーカレッジ」に入会する権利が付与されます。入会は手上げ式ですが、熱意のある方に入っていただけるよう、説明会で意識づけを行っています。その次の層はゼネラルマネジャーを、その次の層は役員を育成するプログラムとなります。
エントリーレベルである「次世代リーダーカレッジ」では、まず入会した段階で、日本エス・エイチ・エルのアセスメント(OPQ)を行い、現在の本人の状態、特徴をフィードバックします。また、大塚商会が目指すリーダー像を共有し、2年間のプログラムにおける個々人の能力開発課題を明らかにします。この個人データは、タレントマネジメントの一環としてデータベース化されます。なお、大塚商会の管理職に必要とされる資質・スキル・知識のうち、資質の部分は行動傾向の影響が大きいため、OPQをベースにして要件定義しました。
プログラム中のパフォーマンスも適宜、数値としてデータベース化されます。たとえば、リーダーシップやプレゼンや企画などのスキル、ファイナンスやマーケティングなどの知識。これらの情報はタレントマネジメントデータベースとして、活用しています。
今後の課題は、参加者の構造的アセスメント。
人の目による評価をデジタル化し、安定的に継続可能な仕組みへ。
今後の課題は、管理職候補者に対するポテンシャルの把握や評価を、構造化して長期的に継続可能な仕組みに落とし込むことです。その一案として今回、取り組むのが、管理職登用制度の構築です。この管理職登用制度では、まず管理職に求められる要件を定義し、足りないスキルや知識などを明確にしたうえで、1年間の教育を人材開発部が行います。そして最終的にアセスメントを行い、登用者を決めていくという内容になります。今後は管理職候補者の評価を人の目に頼らず、構造化・デジタル化し、継続可能な登用の仕組みとして運営していく必要があります。
日本エス・エイチ・エルとは30年近くお付き合いいただいています。最初にお願いしたのは採用テストでしたが、当時から高業績者の特徴をデータ分析で明らかにする手法を行っていました。要望に応じたきめ細かいカスタマイズに対応してもらえ助かっています。人材測定、サーベイなどで客観性を担保したい人事施策を検討する際には必ず声をかけています。当社にとってブレーン的な会社です。
担当コンサルタントから
清田茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員
関連リンク