【コラム】人事コンサルタントの視点
さまざまなタレントマネジメント課題に関して、
日本エス・エイチ・エルのHRコンサルタントがコラムを執筆しています。
人材選抜における良い適性テストの選び方
今日では、新卒・中途といった社外からの人材採用や、昇進・昇格、登用といった社内人材の評価など、さまざまな選抜の場面で適性テストが使われています。本コラムでは、良い適性テストを選ぶ際の考え方についてご紹介します。
適性テストとは
適性とは、あることを行うのに適した性質を言います。
身体・遺伝的なものから、思想、教養、嗜好、関心など人にはいろいろな個人差がありますが、これらはただの個人の性質です。私たちは、組織における人と仕事の最適化を課題にしていますので、特定の業務・役割に適しているか、が最大の関心事です。この特定の業務・役割に適しているかに関係する性質を調べることができるテストを、適性テストと呼んでいます。
適性テストの利点
適性を見極める手法としてよく用いられるのは面接でしょう。
ただ、応募者が多人数であった場合、人手がかかり、効率が良くありません。また、さまざまな誤差が混入しやすく、面接官や応募者の対話のスキルに依存します。 ある面接官の見極めが適切であると仮定しても、それを維持しつつ、すべての応募者をその面接官が対応する、というのは多くの時間と費用を要します。
適性テストは少ない時間と費用で、全員に等しい設問を投げかけ、得られた回答を一律の基準で分類、評価して、数値化します。 誤差の入り込む余地が少なく、かつ面接に比べて時間も労力も格段に少なくて済みます。 効率的に、幅広く、客観的な情報を収集できる点が適性テストの秀でたところです。
適性テストの選び方
1.品質
妥当性:測りたいものが測れるか 信頼性:正確に測れるか 標準性:比較集団の質
2.使い勝手
受検・採点方式、応募者管理システムとの連携 等
3.コスト
テストの費用、検討・導入コスト 等
適性テストを選ぶ際の検討基準は、上記の3点にまとめられます。
この中で最も優先されるべきは、品質、それも妥当性です。テストを使う目的を達成できるかどうか、期待通りの使い方ができるかどうかは、この妥当性にかかっています。これを蔑ろにすると、適性テストに係るコストを無駄にするだけでなく、誤った人事判断につながります。
妥当性を確認するには、一定の人数に適性テストを実施して、得られたテストデータと測定したい指標との関係性を分析します。これを妥当性検証と呼びます。例えば、秀でた営業成績をあげられるような人材を採用したければ、社内の営業職社員に適性テストを実施して、適性テスト結果と営業成績に関係性が見られるかを確認します。
終わりに
適性テストの導入効果は、1.ビジネスサティスファクション(関係者の満足度)、2.ビジネスインパクト(コストなど重要なビジネス指標の変化)、3.ビジネスアウトカム(売り上げや利益の増加などビジネス上の成果)に大別されます。
目的に沿った適性テストを適切に使えば、必ずその効用を得られます。
残念ながら適性テストを活用できていないと嘆いている方々の多くは、テストを使う目的が曖昧であったり、選び方が不適切であったりします。今日では、さまざまな用途や使い方に馴染むよう、数多くの適性テストが開発され、選べる環境になっています。適性テストを選ぶ際には、目的を明確にしたうえで、専門家のアドバイスを受けながら妥当性の確認を行ってください。
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