日本エス・エイチ・エルが考える
「タレントマネジメント」
皆さんはタレントマネジメントの意味をどう捉えていますか。
タレントマネジメントが重要視される背景や、人事の課題解決に与える影響を考えていきましょう。
経営環境が激しく変化している昨今、人材の重要性はさらに高まり「タレントマネジメント」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。働き方の変化にも柔軟な対応が求められる今、人材を戦略的に適正なポジションへ配置したり、育成したりするために、タレントマネジメントシステムを導入する企業も急増しています。
「タレントマネジメント」は
「人材に関するあらゆる取り組み」
「タレントマネジメント」は、文字通りの意味で考えると「タレント(Talent)=才能のある人」、「マネジメント(Management)=管理」の意味。とりわけ人事の領域において、日本エス・エイチ・エルでは「人材が持つ能力、スキル、知識、経験」などのほか、目には見えないポテンシャルも才能ととらえています。
そして「マネジメント」は、それらを最大限に活かすための「人材に関するあらゆる取り組み」を指しているのです。
タレントマネジメントの目標や課題、内容、方法、対象者などは、経営戦略・事業戦略によって決まります。たとえば、採用、異動、任用、昇格、報酬、評価、パフォーマンス管理、後継者計画、評価面談、能力開発、キャリア開発、組織開発など。やりようによっては、プライベートな交流ですらタレントマネジメントに含まれるでしょう。 タレントマネジメントは、人材を管理する仕組みや、同様のシステムを指すだけの言葉ではありません。「組織人事における問題を解決する・人材を活かすための取り組み」そのものです。企業戦略が円滑に実行されること、組織人事の問題を解決に導くことが、タレントマネジメントが持つ価値であり、真の意味するところでもあるのです。
Organizations lack people insight:
39% make business decisions without objective talent data.
52% lack the right information to make good people decisions.
61% don’t understand their workforce’s potential.
39%が、客観的な人材データを持たずにビジネス上の意思決定を行っている
52%が、適切な人材の意思決定を行うための適切な情報を持っていない
61%が、自社の従業員の潜在能力を理解していない
出典:SHL Group Ltd
「タレントマネジメント」が
重要視される現代の背景
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が、「自社の競争力を更に高めるために強化すべきものは」との調査を行いました。有効回答数2,783社の中で1番多かったのが「人材の能力・資質を高める育成体系」で、52.9%。また、「従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度」が、3番目に高い39.5%になっています。
<資料>「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」(2013年)
このように、人事制度や人材育成など、人材を活かす取り組み──タレントマネジメントに大きな注目が集まっていることが、数字にも現れています。
なぜ近年、タレントマネジメントに注目が集まっているのでしょうか。私たちは、4つのポイントがあると考えます。
(1)経営環境変化の激しい時代、新たなリーダーや変化志向人材が求められる
経営環境の変化により、これまでのやり方を一新せざるを得なくなった企業は決して少なくないと思います。ほかにも、気候変動問題、自然災害、感染症の蔓延、食糧危機、国際紛争、金融危機、法改正、消費者ニーズの多様化、情報化社会・情報技術向上の加速など、現代の経営環境は目まぐるしく変化し続けます。変化の時代の新たなリーダーとなりうる人材を見出し育てる必要に迫られています。
(2)グローバル人材や創造型人材が求められる
IT技術向上やSNSの普及によりワールドワイドな交流が活発になり、グローバリズムとナショナリズムの共存課題や人種差別問題など、現代の複雑な情勢に柔軟に対応しながら、企業は生き延びていかねばなりません。特に次世代に向けて、グローバルな観点からイノベーションを起こす、創造的な人材が必要とされています。
(3)組織全体の生産性向上
「働き方改革」により、企業は大幅な業務効率化を迫られています。作業工程を最適化したり、少ない投資で大きな成果を得られたりする仕組みなど、限られた資産で最大限の成果創出が求められています。
(4)定着性、社員満足度を向上させる
仕事も業務もきちんとこなしながらも、友人や家族との時間、地域との関わりを大切にしたい人が増えるなど、従業員の働き方に対するニーズは多様化が進んでいます。そんな中、労働人口の減少により、従業員の定着は企業にとって重要視されています。効率的に社員ひとりひとりの能力や意欲を向上させることで離職率を減らすことが急務です。
Fewer than 20% of organizations believe they have the right leadership in place to remain competitive.
「うちの会社は、競争力を高めるために適切なリーダーシップを発揮している」と胸を張っていえる組織は、20%にも満たない
出典:SHL Group Ltd(英語)