【コラム】人事コンサルタントの視点
さまざまなタレントマネジメント課題に関して、
日本エス・エイチ・エルのHRコンサルタントがコラムを執筆しています。
進化するオンラインテスト
~Webテストからプロクタリング機能付「C-GAB plus」まで
コロナ禍で一気にオンライン化が進んだ採用選考。Web面接やオンライングループ討議は比較的新しい取り組みですが、初期選考として実施するエントリーシートやテストはデジタル化されて久しいです。本コラムでは、今や企業の採用選考で主流となっているオンラインテストについて、改めて手法の特徴やメリットなどを解説します。
就職活動のオンライン化
インターネットの興隆とともに90年代半ばにオンラインの就職サイトが登場しました。就職活動の情報収集は紙媒体からインターネットへと変化し、それに伴いオンラインでの応募(Webエントリー)も登場。就職氷河期を背景に、オンライン化の副次効果として、1人の学生が多数の企業に応募する状況が生まれました。
企業が採用選考で課すテストは筆記試験が変わらず主流でした。志望する企業へ足を運び筆記試験を受けることは意欲形成につながる半面、試験官の手配、採点して結果が出るまでの労力やスピード、応募者多数の場合の外部会場の確保など、様々なコストがかかります。CBT(Computer Based Test)と呼ばれるPCで実施するテストも開発されましたが、あくまでも企業へ足を運び受検をする形式であり、一度に大量に応募者を受け入れることはできないため、利便性の劇的な向上にはつながりませんでした。
Webテストの特徴
2001年、日本エス・エイチ・エルは国内初となるWebテストを開発、リリースしました。今では多くの企業で普及しているWebテストですが、当時は画期的な商品でした。
Webテストのメリットは以下のようにまとめられます。
1. 選考の効率化:試験監督の確保や試験会場の手配の手間がかかりません。また、受検後結果が即時わかるので、選考テンポを速められます。
2. 費用対効果:試験会場費、試験監督者、物流等のコストが不要になります。大量受検の場合、よりコストメリットが大きくなります。
3. 機会の拡大:インターネット環境さえあれば、全国の応募者に平等に受検をさせることができます。海外からでも受検できます。
4. 受検の利便性:試験会場に出向くことなく、24時間いつでも、受検者の都合のよいタイミングで受検することができます。受検者の選考離脱などのリスクを低減することができます。
発売から20年、集積された様々な知見を商品に活かして改良を続け、今日では日々大量の応募者が受験する環境でも非常に安定的に運営することができています。試験監督のいないWebテストで指摘される不正受験の問題は、技術面での工夫、抑止効果としての応募者向けメッセージ、Webテストと同等のテストを再度実施するリテスト(再テスト)機能などを駆使して防止策に取り組んでいます。
全般的な技術向上だけでなく、企業側・応募者側双方のITリテラシーも発売当時から各段に進んだことで、今やWebテストは効率的かつ簡便に採用選考を進める必要不可欠のツールと言えます。
テストセンター型Webテストの登場
劇的に選考の効率化・合理化を進めたWebテストですが、先述のとおり、不正受験に関する課題を内包しています。初期スクリーニングとしてWebテストはその機能を十分に果たすものの、不正受験を行う応募者そのものを検知することは難しい現状があります。そこで、当社では2013年にテストセンター形式のオンラインテストをリリースしました。テストセンター形式の最大の特徴は厳格な本人認証です。応募者が会場に足を運ぶ必要があるため、Webテストと比して利便性は低くなりますが、当社では全都道府県のみならず世界の主要都市でも会場を用意して幅広い受験環境を提供しています。
さらに2021年、当社ではプロクタリング(試験監督)機能のついたWeb会場を追加したC-GAB plusをリリースしました。このWeb会場を選択することで、受験者は自宅で、ウェブカメラを介して遠隔の試験監督員 (プロクター) に監視されながらオンラインでテストを受けることができます。コロナ禍で人との接触機会や移動を極力減らすという未曽有の状況となりましたが、C-GAB plusは自宅受験という従来のWebテストの利便性と本人認証というテストセンター形式の厳格さの両立を可能にしました。
おわりに
ご紹介した各種オンラインテストはそれぞれにメリット・デメリットを併せ持ちます。現在選考の見直しをされている企業は、自社のニーズや優先順位を改めて整理した上でツールを選定することをお勧めします。
また、今回は主に日本エス・エイチ・エルにおけるオンラインテストの歩みを簡単にご紹介しましたが、SHLグループではスマートフォンやタブレットにも対応した知的能力テストを開発するなど、グローバルで日々進化し続けています。今後も様々なテクノロジーが生まれる中で新たな技術を用いた画期的なアセスメント手法の研究を重ね、企業や応募者へ最適なソリューションを提供し続けたいと思います。
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