人事担当に聞く!タレントマネジメントの実際
様々な人事課題に対して、なぜ、なにを、どのように行ったのか、
人事担当者にお話しを伺いました。
変革を推進するためのキャリア開発・人材育成。
4つのフェーズで構成されるポーラの「人材成長プログラム」
創業100周年に向けて、多彩なValue Creatorが共創する組織へ。
社員一人ひとりのビジョンの実現をサポートする「人材成長プログラム」についてご紹介します。※本取材は2022年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
岸 夏海 様
株式会社ポーラ
人事戦略部 ヒューマンバリューチーム
株式会社ポーラ
事業内容 | : | 化粧品、健康食品、ビューティーケア、エステサービス |
業種 | : | 化粧品製造販売業 |
従業員数 | : | 1,359名(2021年12月末現在) |
インタビューの要約
化粧品事業の枠に捉われない新たな挑戦や変革のため、多彩な社員一人ひとりのビジョンの実現に向けたキャリアサポートを行う「人材成長プログラム」が発足。
「人材成長プログラム」は4段階。まずは自身の強みを「知る」、次にビジョンや実行計画を「描く」、オンラインスクールやスキル開発プログラムで「学ぶ」、そして実際の業務で能力を「活かす」。
「知る」のフェーズでは、日本エス・エイチ・エルの万華鏡30を活用。個々人の自己理解が深まっただけでなく、強みを生かした現場でのアサインメントや、社内の人材の可視化が促進される効果も。
社内アンケートの結果、キャリアに対する社員の主体性がアップ。今後も施策全体のPDCAを回していきたい。
このインタビューのテーマ
既存事業の枠を超えた挑戦のために、多彩な人材のキャリアデザインを支援する「人材成長プログラム」。
弊社は創業100周年の節目に向けて、これまでの化粧品事業の枠に捉われない、新たな挑戦や変革を進めています。組織としてのありたい姿は、多彩な「Value Creator」による共創。社員一人ひとりがValue Creatorとして、最大限能力を発揮し、個人と組織がお互いを高め合う関係の中で、ワクワクするような面白い挑戦により、価値を創出している組織を目指しています。
人事としてValue Creatorの挑戦と成長を引き出すためには、多彩な社員の個の尊重と、チームとしての創発力を最大化しつながりを高めること、そして社員一人ひとりのWillや自らがポーラを通して描いた未来に、自分の意志で向かっていく力強さが必要不可欠だと捉えています。そんな視点をもって打ち出したのが、「人材成長プログラム」という弊社独自のプログラムです。このプログラムは、「知る」、「描く」、「学ぶ」、「活かす」という4つのフェーズに沿って、キャリアを描く機会、成長する機会、そして能力発揮の機会までを提供する様々なコンテンツを実施しています。
「人材成長プログラム」は4段階。自分を知り、ビジョンを描き、
実現に向けて学び、能力を発揮する。
「人材成長プログラム」の「知る」というフェーズでは、日本エス・エイチ・エルの「万華鏡30」を用いて、一人一人の個性や強み・弱みを可視化し、自己理解を深めてもらいます。次に「描く」では、今後の自分のキャリアビジョンと実行計画を描きます。具体的にはキャリアデザインのeラーニングや、世代別研修を実施しています。「学ぶ」では、ビジョンの実現に向けて、オンラインスクールや領域限定のスキル開発プログラムを活用しながら、能力開発を行います。最後が「活かす」です。実際に業務に携わる中でさらに成長し、高めた力を最大限発揮していただく。そのために、人事としては適切な異動配置を考えることも課題の一つです。弊社ではタレントマネジメントシステムに社員のスキルやキャリアプランなどを一元管理し、これまでの一律のジョブローテーションを少しずつ個人に合わせたキャリアとすることを目指しています。
これらを体系的に実施しながら、さらに効果を高めるポイントが、上長による定期的な1on1。それぞれのフェーズにおいて上長によるキャリア支援を必須とし、人事と上長は情報連携やフォロー体制を整えながら、人材成長プログラム全体を動かしています。
キャリアデザインの第一歩はアセスメントによる自己理解。
個人の内省だけでなく、適材適所が促進される効果も。
今回、「知る」というフェーズで日本エス・エイチ・エルの「万華鏡30」を活用させていただきました。受検対象は全正社員で、受検後に1時間の「自己理解研修」や上長との1on1での結果の活用を行うことで、さらに自分自身に対する理解や内省を深めています。
導入後の効果は大きく2つあります。一つ目は従業員同士のコミュニケーションです。チームや上司・部下間でお互いのアセスメント結果を見ながら、業務分担を行ったり、個人の強みを生かすようなアサインメントが行われたりするようになりました。二つ目は、人事視点での全社分析が可能になったことです。この万華鏡30の導入により、社員を同一基準で解釈することが可能になりました。
この結果を様々な分析にかけることで、社員の性格傾向がわかりやすく表現され、社内にどのような人材が分布していて、どのような人材が不足しているのかなど、人材分布から育成課題等も可視化されるようになりました。
社員のキャリア意識に変化の兆し。
これらの施策はすべて発展途上ですが、少しずつ変化の兆しが見えてきました。今年の社員アンケートの結果、「自ら主体的にキャリアを描き切り開くマインドが自身に備わっていますか?」という質問に「はい」と答える割合が、昨年と比べ10ポイント以上高まりました。組織として大きな変化が起きるのはこれからと認識しておりますが、今後も情報収集を続け、施策全体のPDCAを回していきたいと思っております。
先般、この取り組みを日本エス・エイチ・エル主催のタレントマネジメントウェビナーでご紹介しました。このウェビナー出演をきっかけに他社の人事担当者と情報交換の機会を得ることができました。お会いした各社さんとも、独自の工夫を凝らしたタレントマネジメント施策を導入されていて大変勉強になりました。今後も情報交換を続けていくつもりです。日本エス・エイチ・エルはアセスメントの専門性が特徴的な会社ですが、人事担当者のネットワークを提供してくれる点も魅力の一つです。
担当コンサルタントから
横山武史
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング3課 課長