【コラム】人事コンサルタントの視点
さまざまなタレントマネジメント課題に関して、
日本エス・エイチ・エルのHRコンサルタントがコラムを執筆しています。
リーダーシップのSLⅡ®理論とSHLアセスメント
~部下の意欲と状況に合わせたマネジメント~
「リーダーシップ」
近年、多くの企業が社員に対して「リーダーシップ」を求めています。リーダーシップと一言で言っても、それは具体的にどういったものでしょうか。
・「チームや組織を引っ張りリードする」
・「影響力を行使し、周りの人間を巻き込み変革していく」
・「自ら行動し先導する」
など、なんとなく意味合いを理解しつつも、リーダーシップの具体的な定義ができていない(あるいはできない)のが実情かと思います。それでも、多くの企業は人材の重要な要素として捉えているのは間違いないでしょう。
多くの有識者が様々な研究や定義付けを行っておりますが、本コラムではKen Blanchard氏によって開発されたリーダーシップ理論、SLⅡ®理論のリーダーシップをご紹介するとともに、そのリーダーシップを現実的に実践する助けとなるような当社アセスメントの具体的な活用例を提示したいと思います。
SLⅡ®理論概要
この理論は端的に、部下の状況(パフォーマンスや意欲)に合わせて上司としてのサポートも変えていく必要があるというものです。下図に理論の全体像を示します。
- 部下のパフォーマンスが低い×意欲が高い
➡指示型:新入社員や新たな職務を与えられた部下等が当てはまり、きめ細やかなサポートが必要です。意欲は高いため、うまくその気持ちを行動に起こせるようサポートします。 - 部下のパフォーマンスが低い(~中程度)×意欲が低い
➡コーチ型:成長を促し意欲を高めるために、しっかりとサポートしながらも部下の主体的な行動を促すことが必要です。 - 部下のパフォーマンスが中程度(~高い)×意欲が不安定
➡支援型:部下自身が主体となって目標を達成するサポートをしながらも、部下の意欲をしっかりと見極めることが重要となります。 - 部下のパフォーマンスが高い×意欲が高い
➡委任型:パフォーマンスも良く意欲も高い部下には、積極的に自身が意思決定を行い、責任を持って自主的に動いてもらうようにします。
このように部下の状況、ここでは実際のパフォーマンスとその時の意欲(モチベーション)を鑑み、上司は取るべきリーダーシップスタイルを変えていくということです。
SHLアセスメントの活用
前述のSLⅡ®理論は理解しても、言うは易く行うは難しです。この理論を実践するには、次の3つのステップが欠かせません。
- 部下の状況把握(パフォーマンスと意欲)
- 上司の適切なリーダーシップ(部下に対する接し方やフィードバック)
- 継続的なフォローアップ(部下の状況変化に応じた上司の適応)
例えば①は、実際に部下のパフォーマンスはある程度把握できても、意欲まではなかなか把握しきれないことがこの理論を実践する難しさの一つではないでしょうか。最初のステップで認識を誤ってしまうとその後適切なリーダーシップスタイルを形成することも難しく、誤ったサポートの結果、部下のエンゲージメントも下げてしまう可能性もあります。
そこで上記3つのステップを現実的に実践する助けとして、当社アセスメントの活用をおすすめいたします。
3つのステップの中で「① 部下の状況把握」に有用なアセスメントは360度評価ツール「無尽蔵」です。無尽蔵はコンピテンシーの客観的な測定により部下のパフォーマンスを把握するのに役立ちます。
➡360度評価ツール「無尽蔵」:コンピテンシーの「重要度」の認識と、他者評価におけるコンピテンシーの発揮レベルを測定することで現職におけるパフォーマンスや能力開発課題を明らかにし、能力開発などに利用することが可能です。
次のステップである「②上司の適切なリーダーシップ」に有用なアセスメントは意欲リソース測定「MQ」です。MQは個人の意欲の高低を直接測定するものではありませんが、部下がどのような環境や条件で意欲的になり、意欲を失うかを定量的に把握するために役立ちます。今、部下が意欲的である(意欲を失っている)要因を把握し、主体的行動を促すための最適な動機付け戦略を検討するための情報を提供します。
➡意欲リソース検査「MQ」:意欲の傾向を4領域18尺度で測定し、意欲に影響を与える要因(意欲リソース)を明らかにします。何によって動機づけられ、何によってやる気を失うかを把握することが可能です。
上記2つのアセスメントを実施することで、部下のパフォーマンスと意欲リソースを定量的に把握することが可能となります。部下の現状について正しく把握することは、その後の上司の取るべきリーダーシップスタイルを決定する際の根拠となります。さらに、それぞれのリーダーシップスタイルを習得するための上司向け研修などにも繋げることが可能となるでしょう。
最後に
現状、「リーダーシップ」について数多くの研究やモデルがありますが、未だに最適解は見出されておりません。今後も画一的なリーダーシップは確立されず、あるべきリーダーシップ像が絶えず変化することも十分考えられるでしょう。ただ、その中でも組織をより良くするために企業は行動を起こさなければいけません。
本コラムでは、SLⅡ®理論を実践レベルに落とし込むための当社アセスメントの活用について述べてきました。この理論が読者の組織に適応しており、社員にもっと浸透させたい、しっかりと現場で実践してほしいとお考えであれば、ぜひ当社アセスメントの活用をご検討いただけますと幸甚です。
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