【コラム】人事コンサルタントの視点
さまざまなタレントマネジメント課題に関して、
日本エス・エイチ・エルのHRコンサルタントがコラムを執筆しています。
グローバル企業の調査から探るタレントマネジメントの現在地
タレントマネジメントという言葉は、今や日本でも広く浸透しています。単に人材を管理する仕組みや、同様のシステムを想起される方もいるかもしれませんが、真の意味は異なります。タレントマネジメントとは、組織の戦略を実行して維持発展していくために行うあらゆる人事戦略と実行を意味します。広範な意味を包括していますが、本コラムではこの言葉を、「組織内の人員の育成・配置・昇格に関わる施策」として取り扱います。
SHLはグローバルで1600名以上のHRプロフェッショナルに調査を行い、採用・タレントマネジメントの最新トレンドをまとめました。調査のテーマは、アセスメントツールやアナリティクス、DEIやニューロダイバーシティ、AIの影響まで多岐にわたります。
今回はこの調査の中から、タレントマネジメントにフォーカスし、その現在地を探ります。
グローバル企業が実践できている良い点と改善点はなにか。自社のタレントマネジメントの点検も兼ねて、ぜひご一読ください。
重要性が増すタレントマネジメント分野
平均で人事予算の36%がタレントマネジメントに割り当てられており、その割合は増加傾向にあります。これは、戦略的優先事項として人材開発・タレントマネジメントに全社を挙げて取り組んでいることを示しています。この意図的な投資は、重要なスキルギャップを埋めるための迅速な解決策であると同時に、将来のリーダーを生む強固なサクセッションプランを確立し、組織の成功と発展を守ることができます。一方で、財政的なプレッシャーは組織内のどの部署も感じている中、予算を割いて実行しているタレントマネジメントのどの施策がうまくいっており、どの領域は改善が必要なのでしょうか?
タレントマネジメントでうまくいっていること
タレントマネジメントにアセスメントが広く使われている
回答者の80%以上がタレントマネジメントで積極的にアセスメントを利用していると回答しました。正確かつ客観的なデータを用いた意思決定の重要性を強調しています。
リーダーやハイポテンシャル人材が優先事項となっている
組織で最も影響力のある役割に注力しており、リーダシップ開発がタレントマネジメントの最優先事項となっています。次いで、ハイポテンシャル人材の特定とキャリア開発が続きます。
タレントマネジメントに投資している
ほとんどの組織(83%)が人材育成への投資を計画しており、将来の成功や重要な従業員の確保において、人材育成が戦略的に重要であることを強調しています。
グローバル企業の問題意識とは
社内での異動・昇進の機会
社内での異動や昇進の機会は様々な階層で存在していますが、最も多いのは一般社員レベル(27%)と初級管理職レベル(27%)です。優秀な人材が社内に留まり、モチベーションを維持するためには、より上級の職務への道筋が見えることが重要です。
客観性に欠ける人材発掘
社内選抜や昇進の意思決定が主観的な情報(87%)や過去の実績(78%)に大きく依存しており、アセスメントのような、より客観的な情報の活用に価値があることを示唆しています。
ハイポテンシャル人材の特定が依然として課題
55%がハイポテンシャル人材の特定にアセスメントを利用しているにも関わらず、ハイポテンシャル人材の定義やその特定方法の満足度は50%を切っています。科学的な裏付けを持ったデータに基づき効果的なハイポ人材プログラムを実施することは大きなメリットがあります。
タレントデータの効果的な活用にはいまだ様々な障壁
データ活用における障壁を認識し、統合された人材システムを利用するなどの解決策を講じる必要があります。
おわりに
自社のタレントマネジメント施策と照らし合わせて、いかがでしたか?
まずは調査で「うまくいっている点」として挙げられた①アセスメントの積極活用、②サクセッションプランやハイポ人材プログラムの優先課題の着手、③タレントマネジメント分野への投資 を出発点として、自社の施策の実行・評価・改善を行ってみましょう。課題として挙がった4点は多くの企業が苦慮している点です。当社が持つ科学的なアセスメントとグローバルな人材に関する知見を活用する余地がありますので、ぜひ当サイトでの情報収集やコンサルタントにご相談いただければ幸いです。
参照:https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2024/talent-management-today-what-works-and-what-needs-to-improve/
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