デジタル人材に求められるコンピテンシー
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現在、世界中の企業がDXを推進するデジタル人材の獲得・維持を最も重要な施策と位置づけ、人材戦略を進めています。 企業がDXを推進するためにはどのような人材が必要でしょうか。
IPAのDX白書2021には、デジタル事業に必要な人材を以下の7職種に分けて充足度や必要性の調査結果を掲載しています。

この7つの職種のうち、重要で育成したい職種の第1位は日米ともプロダクトマネージャーが最も多く選ばれ、日本ではビジネスデザイナーが次に多く選ばれました。

DX推進を担うデジタル人材として重要と考えられているのは、デジタル事業を推進するリーダーや、デジタル事業の企画・立案・推進を担うビジネス系の人材であることがわかります。DXを推進するためにはテクニカルスキルが重要ですが、テクニカルスキルそのものに加えデジタル技術を使って新しいビジネスやサービスを創造する人材が求められています。
2022年9月に開催したSHLタレントマネジメントウェビナーにおいて、株式会社リコーのCDIO田中豊人氏は、「リコーのデジタル人材強化は『高度なデジタル技術でサービスを開発するデジタルエキスパート』と『デジタルを活用して事業価値を高めるビジネスインテグレーター』の両面で行っている」とお話しされました。
デジタル人材にはテクニカルスキル以外のコンピテンシーも求められているのです。
デジタル人材に求められるコンピテンシー
SHLはデジタル人材に求められる人材要件を以下4分類13項目のコンピテンシーで整理しています。コンピテンシーは、SHLのコンピテンシーモデル「Universal Competency Framework(UCF)」から抜粋しています。1.継続的な学習と革新
デジタルビジネス環境に伴う急速な変化で、環境に適応し、効率的に学び、革新できる人材とリーダーが必要となる。

2.洞察に富む分析
デジタルツールの急増やデータ・情報の激増により、分析力・推論力でこれらを効率的に使い、幅広い文脈で成果を創出する洞察力が必要となる。

3.ネットワークの活用
デジタルビジネス環境において、仕事の相互依存性が高まり、カスタマーエクスペリエンスがより重視される中で、生産的な関係性を築き、協働し、周囲に影響を与えて同僚や顧客のパフォーマンスを向上させる人材が必要となる。

4.優れた実行力
デジタルビジネスにおける持続的な経済成長のプレッシャーに対し、行動的で、決断力があり、実利で、効率的に目標と目的を達成する人材とリーダーが必要となる。

おわりに
今回ご紹介したデジタル人材コンピテンシーを見て、今までのリーダーシップコンピテンシーとあまり変わらないと感じた方もいると思います。私自身も最初はそう感じました。しかし、改めて考えてみてください。変化と技術革新の速いデジタル時代においては「1.継続的な学習と革新」はより必要性が高まり、ビッグデータと人工知能の技術によって「2.洞察に富む分析」が可能になると自らの経験と勘とは異なる意思決定が必要になり、イノベーションの創出には他領域を専門とする他者との「3.ネットワークの活用」が求められ、実績の無い新しい仕事ではより強い意志と「4.優れた実行力」がなければ成功できません。
なお、これらのコンピテンシーのポテンシャルはSHLタレントセントラルで測定が可能です。こちらから資料のダウンロードが可能です。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員