ウェビナーリポート:戦略的タレントマネジメントの進め方
公開日:2021/01/29
本コラムは2021年1月27日(水)に開催したSHLタレントマネジメントウェビナー「戦略的タレントマネジメントの進め方」の講演内容の記録です。
今日の講演は、環境に適応できる組織をどのように作っていくかがテーマです。


この枠組みを踏まえてタレントマネジメントを実践することで、各人事施策の相乗効果を高め、矛盾や無駄のない合理的・効率的な人事施策の運営が可能となります。
それではパートごとに説明します。
戦略はリソースにより影響を受けます。人は企業における最重要リソースです。人に関する情報を持っているのは人事ですから、人事はトップのビジネスパートナーとして戦略立案に関与すべきです。
全社レベルで決めるべきことは、会社の価値観、組織、コンピテンシー、組織文化、リーダーシップスタイル、雇用主ブランドとEVP(Emploee Value Proposition)。
役割レベルで決めるべきことは、職務グループ、キーポジション、キャリアパス、役割プロファイル、報酬制度。
プロセスレベルで決めるべきことは、昇進、選抜、異動、能力開発に加えて、各プロセスに用いるテクノロジーです。
人材の棚卸しで取得すべき情報は3つあります。各社員の実績、コンピテンシー、ポテンシャルです。実績は業績、評価、職務経歴、異動歴、研修受講歴、取得資格、勤怠などを含みます。コンピテンシーは能力評価、行動評価、360度評価、保有スキル、業務知識などを含みます。ポテンシャルはパーソナリティ、知能、意欲、価値観、興味関心などを含みます。ポテンシャル情報は、上長による評価結果が用いられることが多く、客観的な情報が得られづらいものです。そのため、客観的なアセスメントを用いた情報収集が有効です。
一つ目は、対象となるポストに求められる人材要件を定義しておくこと。最近は日本でもジョブ型雇用の導入にあたって職務記述書を作成する企業が出てきました。職務記述書を作成するかどうかは会社によりますが、求められるコンピテンシー、スキル、経験等を定義することは必須です。
二つ目は、人材要件(選抜基準)を評価するために適切な(妥当な)選考手法を用いること。例えば、ホスピタリティーが人材要件であるならば、計数検査と論理検査を用いることは無駄なだけでなく、誤った判断につながります。パーソナリティ検査や接客のロールプレイ演習などを用いることが適切です。
タレントマネジメントの成果は業績を向上すること。最終的なゴールは業績に置くとしても、タレントマネジメントによってすべての業績を説明できるわけではありません。以下のような重要な成果指標を作成しておくことが大切です。
以上で本日の私の話は終了します。最後までご視聴いただき誠にありがとうございました。
はじめに
私がHRコンサルタントとして28年間仕事をしてきて思うことは、日本企業の人事マネジメントは28年前とほとんど変わっていないということ。この間、日本の国際的な存在感は低下し続け、特にこの10年間は世界でデジタル破壊が急速に進み、世界の主要なプレーヤーである日本企業はかなり少なくなりました。そしてこのコロナ禍。パンデミックが起こした急激な環境変化により、会社の淘汰がはじまりました。もう私たちに変化を先送りしている余裕はありません。今日の講演は、環境に適応できる組織をどのように作っていくかがテーマです。

戦略的タレントマネジメントとは
戦略的タレントマネジメントとは枠組みにそったタレントマネジメントのことです。その枠組みとは、以下の通り。- 企業の戦略
- 人材戦略の定義
- 人材アーキテクチャの構築
- 人材の棚卸し
- 人材の選抜
- 人材パイプラインの構築
- 能力開発
- 人材インテリジェンスの活用
- 効果測定

この枠組みを踏まえてタレントマネジメントを実践することで、各人事施策の相乗効果を高め、矛盾や無駄のない合理的・効率的な人事施策の運営が可能となります。
それではパートごとに説明します。
企業の戦略
タレントマネジメントの目的は企業の戦略を遂行すること。企業の戦略とは経営戦略、事業戦略のことです。経営事業戦略立案の責任はトップにありますが、人事はただ受けて立てばいいわけではありません。戦略はリソースにより影響を受けます。人は企業における最重要リソースです。人に関する情報を持っているのは人事ですから、人事はトップのビジネスパートナーとして戦略立案に関与すべきです。
人材戦略の定義
経営・事業戦略を遂行するための人に関わる戦略が人材戦略です。人材戦略を定義する際に意識していただきたいことは、全ての人材戦略が経営・事業戦略にはっきりと結びついているということ。曖昧な関連付けではなく、明確に一つ一つがつながるように人材戦略を作ってください。人材アーキテクチャの構築
人材戦略を遂行するための人事の制度、仕組みが人材アーキテクチャです。全社レベルで決めるべきことは、会社の価値観、組織、コンピテンシー、組織文化、リーダーシップスタイル、雇用主ブランドとEVP(Emploee Value Proposition)。
役割レベルで決めるべきことは、職務グループ、キーポジション、キャリアパス、役割プロファイル、報酬制度。
プロセスレベルで決めるべきことは、昇進、選抜、異動、能力開発に加えて、各プロセスに用いるテクノロジーです。
人材の棚卸し
ここからは運用です。人材の棚卸しとは、どこにどのような人が、どれだけいるかを定量的に把握すること。人材の棚卸しによって人材可視化を実現できます。人材の棚卸しで取得すべき情報は3つあります。各社員の実績、コンピテンシー、ポテンシャルです。実績は業績、評価、職務経歴、異動歴、研修受講歴、取得資格、勤怠などを含みます。コンピテンシーは能力評価、行動評価、360度評価、保有スキル、業務知識などを含みます。ポテンシャルはパーソナリティ、知能、意欲、価値観、興味関心などを含みます。ポテンシャル情報は、上長による評価結果が用いられることが多く、客観的な情報が得られづらいものです。そのため、客観的なアセスメントを用いた情報収集が有効です。
人材の選抜
人材の選抜は採用、異動、登用などにおいて人を選ぶこと。人材選抜の重要なことは二つあります。一つ目は、対象となるポストに求められる人材要件を定義しておくこと。最近は日本でもジョブ型雇用の導入にあたって職務記述書を作成する企業が出てきました。職務記述書を作成するかどうかは会社によりますが、求められるコンピテンシー、スキル、経験等を定義することは必須です。
二つ目は、人材要件(選抜基準)を評価するために適切な(妥当な)選考手法を用いること。例えば、ホスピタリティーが人材要件であるならば、計数検査と論理検査を用いることは無駄なだけでなく、誤った判断につながります。パーソナリティ検査や接客のロールプレイ演習などを用いることが適切です。

人材パイプラインの構築
人材パイプラインはジョブ型雇用の会社における幹部の内部昇進比率を高めるための仕組みです。メンバーシップ型雇用中心の日本では幹部のほとんどが内部昇進であり、多くの社員は自社内での昇進を思い描くことができます。日本企業にとってあえて人材パイプライン構築する必要はないかのように思えますが、実は違います。日本に社長を作るための体系的な育成システムを持っている会社がどれだけあるでしょう。ほとんどありません。人材パイプラインは、重要ポストの候補者群を作り、その候補者群に経験させるべきキーポジションを定め、戦略的に人材を育成するための方法として、今の日本に必要なものなのです。能力開発
どんな会社でも社員教育をやっています。改めて確認すべきことは、今の能力開発プログラムが戦略を遂行する上でどのように役立っているかです。また、リーダーシップ開発における70・20・10の法則(リーダー育成における経験、指導者、研修の効果の割合を示す法則。経験70%、指導者による薫陶20%、研修10%)で言われる通り、経験(70%)が成長に大きな影響を与えます。配置そのものが能力開発施策になっているのです。人材インテリジェンスの活用
人事データベースやタレントマネジメントシステムに選抜や棚卸しで得られたデータを取り込み活用します。具体的には以下のような活用です。- データを参考に重要な意思決定を行う。
- 地域、ビジネスユニット、階層、職種ごとにベンチマークとの比較を行い、どの分野の人材に競争優位性があるかを把握する。
- アセスメント、評価等のデータを取り込み人材ダッシュボード作る。
- コンピテンシー、スキル別に人材レビューを行い、優秀人材を特定する。
- 現状の強みと弱みを明確にする。
効果測定
各人事施策がどの程度戦略の遂行に貢献したかを測る方法を準備し、継続的なフィードバックにより人事施策を改善します。タレントマネジメントの成果は業績を向上すること。最終的なゴールは業績に置くとしても、タレントマネジメントによってすべての業績を説明できるわけではありません。以下のような重要な成果指標を作成しておくことが大切です。
- 満足度:エンゲージメントサーベイ、研修受講者アンケート等
- ビジネスインパクト:内部昇進比率、社内外の採用比率、トレーニング効果等
- 業績:売上、利益等
以上で本日の私の話は終了します。最後までご視聴いただき誠にありがとうございました。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員