人工知能(AI)とアセスメント~後編~
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前編ではアセスメントにAIを活用するとどのような良い影響があるのかを述べました。後編は想定しておくべきリスクとリスクに対処するためのポイントをご紹介します。
AIを利用することの代表的なリスクは、「企業の評判リスク」「法的リスク」の2つです。
企業の評判リスク:
ソーシャルメディアの浸透により、個人の発言力は高まっています。AIによって不当に扱われたと感じる個人がいた場合、その影響は計り知れません。例えば、本人の同意がない情報をAIの学習データとして使った、本人に対して説明もなくキャリアパスをAIに操作されていた、というような事実が明るみに出た場合、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、社会的な信用問題にまで発展することは想像に難くありません。
法的リスク:
日本の個人情報保護法、EUの一般データ保護法(GDPR)など、個人の情報を取り扱う上での法整備は世界中で整備されています。特にGDPRでは、AIの活用について公平性の原則に従い、どのようなデータを活用するのかに関する十分な説明を対象者に行うよう求めています。
AIによる予測モデルは複雑になりがちです。AIが大量のデータを学習すればするほど、判断の過程を人間が理解できないものになりがちです。「統計上の成功確率が高いので、異動してください。」の一言で納得する人はいませんので、判断に至った過程を説明できるように準備する必要があります。どのような変数がどの程度影響していて、概念的にも内容的にも妥当なものであることを理解してもらう必要があります。
2.既存のバイアスを排除する。
AIは人間の判断を学習します。将棋や囲碁のように勝ち負けとルールがはっきりしている中ではバイアスの入る余地はありませんが、人事的な判断には少なからずバイアスが含まれています。そのバイアスが入った情報をAIに学習させれば、偏った判断を下すAIが出来上がります。学習データの選定にあたっては、バイアスが極力取り除かれたデータを用意しましょう。
3.具体的な個人に目を向ける。
AIの活用においては、統計的な成功確率を高めることに目が行きがちです。一方で、AIが導き出した判断を受ける個人にとっては自分のキャリアや人生がかかっています。倫理的に問題ない判断になっているかを確認するだけでなく、その判断を本人に伝える時に、どういった伝え方が双方にとって有益なのかを考える必要があります。

AIを利用することの代表的なリスクは、「企業の評判リスク」「法的リスク」の2つです。
企業の評判リスク:
ソーシャルメディアの浸透により、個人の発言力は高まっています。AIによって不当に扱われたと感じる個人がいた場合、その影響は計り知れません。例えば、本人の同意がない情報をAIの学習データとして使った、本人に対して説明もなくキャリアパスをAIに操作されていた、というような事実が明るみに出た場合、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、社会的な信用問題にまで発展することは想像に難くありません。
法的リスク:
日本の個人情報保護法、EUの一般データ保護法(GDPR)など、個人の情報を取り扱う上での法整備は世界中で整備されています。特にGDPRでは、AIの活用について公平性の原則に従い、どのようなデータを活用するのかに関する十分な説明を対象者に行うよう求めています。
AI活用で守るべき3つの原則
1.説明できるようにする。AIによる予測モデルは複雑になりがちです。AIが大量のデータを学習すればするほど、判断の過程を人間が理解できないものになりがちです。「統計上の成功確率が高いので、異動してください。」の一言で納得する人はいませんので、判断に至った過程を説明できるように準備する必要があります。どのような変数がどの程度影響していて、概念的にも内容的にも妥当なものであることを理解してもらう必要があります。
2.既存のバイアスを排除する。
AIは人間の判断を学習します。将棋や囲碁のように勝ち負けとルールがはっきりしている中ではバイアスの入る余地はありませんが、人事的な判断には少なからずバイアスが含まれています。そのバイアスが入った情報をAIに学習させれば、偏った判断を下すAIが出来上がります。学習データの選定にあたっては、バイアスが極力取り除かれたデータを用意しましょう。
3.具体的な個人に目を向ける。
AIの活用においては、統計的な成功確率を高めることに目が行きがちです。一方で、AIが導き出した判断を受ける個人にとっては自分のキャリアや人生がかかっています。倫理的に問題ない判断になっているかを確認するだけでなく、その判断を本人に伝える時に、どういった伝え方が双方にとって有益なのかを考える必要があります。

おわりに
新しい技術を活用する時にはそれを扱う側の人間性が問われる、というのはいつの時代も変わりません。マハトマ・ガンディーが掲げていた7つの社会的罪の一つに「人間性なき科学」が存在していたことを思い出しました。多くの人の共感を呼ぶようなAIの活用の仕方を私自身模索していこうと思います。
このコラムの担当者
杉浦 征瑛
日本エス・エイチ・エル株式会社 副部長